金沢聖書バプテスト教会

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たねまき1〜6

たねまき4 エホバの放任から救出されて4

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たねまき Vol.4


エホバの証人から救出されて4





 主人が、「神戸に遊びに行こう。」と言ってくれた時、私は大喜びしました。と言うのも、神戸は、私たち夫婦が学生時代をすごし、結婚し、長女が生まれた思い出の地だったです。しかも、子供たちは主人の両親に預けて、二人だけの旅行だと言うのです。私は何の疑いもなく、「エホバは、何てすばらしい祝福を下さったのだろう。」と感謝でいっぱいになりました。



 その頃は、まだ草刈先生の救出活動が始まってそれほどたっていなかったので、金沢会衆では、私が主人と神戸に遊びに行くと言っても、誰も疑いませんでしたし、むしろそれまでのゴタゴタを知っている人たちは、「よかったね。」と喜んでくれていました。特に、私の司会者だった方は、私が東京にしばらく帰されていた間も、ずっと心配して手紙や電話を下さっていましたので、主人や家族と元の通りに仲良くなれたことを心から喜んでくれ、「気をつけて行ってらっしゃい。」と送り出してくれました。



 旅行は、車で行き二泊三日の予定で、一泊目は結婚式を挙げたホテルでした。その事は、金沢出発前に聞いていましたが、二泊目はどうするのか、主人は何も言いませんでした。私は私で、あまり気にもせず、当日になって「今日はどこに泊まるの?」とたずねると、「知り合いの持っているマンションで、自分たちが使っていないときに貸してくれる所だよ。」というのです。私は、少し変だなぁーと思いましたが、「ずいぶん親切な人がいるんだわ。」と気にもせず、神戸の懐かしい町を歩いて食べて、本当に楽しい時を過ごしました。



 夕方になって、いざそのマンションに行ってみると、随分山側で、神戸の街からはとても遠いのです。「何でこんな不便な所にしたのかしら。これなら、もっと海側の安いホテルを探せばよかった。」と思いましたが、仕方ありません。それでも、部屋に行ってみると、普段生活で使うものはすべて(食器、家具、布団その他こまごましたものも)揃っていて、なんだか他の人の家にお邪魔したような、変な感じがしました。



 部屋についてしばらくすると、玄関が開いて、誰かが入ってきました。管理人の方かしらと思ってそちらのほうを見た私は、とても驚きました。そこには、東京にいるはずの実家の両親が、大きな荷物を持って立っていたのです。「どうしたの?」と尋ねる私に、「お父さんたちも来たんだよ。」とだけ父は答えて、部屋に入ってきました。主人は、少しも驚いた様子もなく、待っていましたと言う感じで会話をしています。私は、「ああ、私をびっくりさせようとして、両親をこっそりよんでくれたのかしら。両親とゆっくり旅行することもなかったし、いい思い出になるわ。」とまだ疑いもせず、呑気なことを考えていました。



 ところが、主人も両親も、なんとなく落ち着かない様子です。そのうちに、主人が「実は、ある人とこれからここで、会うことになっているんだ。とてもお世話になっている方なんだけど。」と言って、私にもその人にあってくれるようにと頼みました。私は、「私が知らなくて、主人がお世話になった人なんて、誰かしら?。」と不思議に思っていましたが、そのうちに玄関が開いて、見ると、それは優しい笑顔の男の方でした。



 皆が席に着くと、その方は改まって私に向かって、私がエホバの証人として熱心に活動していることを知っていること、そのことについて主人や両親がとても心配していて、神戸の教会の牧師であるその方に相談したこと、そこで私を神戸に連れてきて、もう一度最初に戻って、エホバの証人の教えと一般のキリスト教会の教えとを比較しなおしてもらいたいことをゆっくりと話しました。私は、このときになって初めて、主人が私を旅行へ誘った目的も、両親がこの場にいる理由も、今日の宿がこのマンションであった理由も理解し、同時に「だまされた。」という思いでいっぱいになり、生まれて始めて心の底から怒りが爆発しました。



 「私は、今まで決して嘘だけはつかないよう生きてきた。また反対に、家族を信用し、疑ったこともなかった。そのことはみんなよく分かってくれているはずなのに、どうしてだましたりなんかしたんですか!!。」



 私は、それまでの主人の優しかった態度や、両親への手紙、神戸への旅行を心待ちしていた日々、ついさっきまでの楽しかった神戸の街・・・いろいろなことを思い出しては、それらが全部偽りのお芝居だったのかと思うと、悔しくて、悲しくて悲しくて、ただただ涙があふれるばかりでした。そして、心の中で、「エホバ、助けてください。どうぞ、サタンの誘惑から守ってください。」とお祈りし、決してこの牧師の言葉には、耳を貸さないぞと決心しました。



 






<次号へつづく>

(金沢聖書バプテスト教会員 主婦)

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