たねまき2 エホバの証人から救出されて2

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たねまき Vol.2


エホバの証人から救出されて2






 金沢へ呼び戻されて、私たちは主人の両親と同居することになりました。食事は別々でしたし、生活空間もだいたい分けられていましたので、同居といっても大変楽をさせてもらえたのですが、それでもエホバの証人として研究や集会、伝道に出るときはとても勇気が要りました。特に、夜の集会と伝道は、子供たちをつれて行くことを禁じられ、両親に預けていかなければなりませんでしたので、その度に、「お願いします。」と言いに行くと、いやな顔をされ、一言二個とあるので何より緊張しました。それでも、私が続けていれば、「いつかエホバが助けててくださって、家族いっしょに幸せになれるんだ。」と信じてがんばりました。



 ただ、伝道はだんだん難しくなっていきました。と言うのも、区域が主人の中学校の校下でもあったし、自分の名前を言わなければならなかったので、両親がひどく反対したからです。「あそこのお嫁さんは変なことをやっている。」と言われると、家族が迷惑すると言うのです。私は非常に困りました。伝道では、自分の言葉に責任を持つため、名前を言わなければなりません。また、伝道こそが、エホバから命じられた大切な働きだったのです。結局、週に一度だけ、午前中の三時間、伝道に出ることが許されました。名前は言わないわけにゆきませんでしたが、なるべく家から離れた区域で、控えめにするようになりました。



 それでも伝道にでられることは、大変な喜びでした。エホバの証人では、早いうちから、「エホバの証人として進歩すると、必ずサタン(悪魔)からの攻撃が、家族や友人を通してありますから、耐えてください。」と言われていますから、そうした迫害(エホバの証人はそういいます)に打ち勝つことは、サタンの誘惑に勝ったのだと思うのです。しかも、自分の話を真剣に聞いて下さる方や、雑誌を受け取って下さる方がいたりすると、「ああ、良かった。エホバが祝福してくださった。」と思い、別の日に買い物に出るついでに再訪問したり、友達のところへ遊びに行く途中で立ち寄ったりしながら、何とか両親に気づかれないよう時間を作っていました。



 でも、「エホバの証人」が家族の中にいることは、両親や家族にとっては、精神的に非常に苦痛だったと思います。世間に知られないよう、友達にも、親類にも言えないことなのです。家の中は、一応きちんと掃除され(家事を手抜きすることは、エホバが悲しまれることでしたので)、特に問題として挙げられることはないようでしたが、家の中の空気が暗く、重く、息の詰まる感じがしました。私自身も家にいる間中、両親の様子が気になって、私のことを話し合っているのではないかしらとか、何か言いに来はしないだろうかとか、いつも体中の神経をとがらせて、緊張していましたので、むしろ集会や伝道に行ってエホバの証人の仲間と一緒にいるときが、唯一心休まる時だったように思います。



 家がそんな状態でしたので、主人も子供たちも、やはり家にいて疲れる毎日だったのではないかと思います。それでも子供は母親をかばってくれるのでしょう。私にとって立場が悪くなるようなことは、両親にも、主人にも、一切何も言わなかったのです。私が集会で夜いない時に父が帰ってきて、「お母さんは?」と聞くと、横を向いてなんでもない風に、「知らない。」といったり、私が子どもたちに少しずつエホバの証人の教義を教えていたので、そのことを「大変だね。」と言われても、「ううん、おもしろいよ。」(子供にとって決して面白いものではないはずです。)と言ってくれたり、無意識に「お母さんを助けなくっちゃ。」との思いが働いていたのだと思います。一方、主人は家に帰ってものんびりできず、なんでもない会話もぎこちなくなってきて、本当につらい日々が続いていたと思います。私のほうは、エホバの証人以外の友達がいないので、生活全てがエホバに関わることでしたし、テレビのニュースを見ても、新聞を読んでも、すぐにエホバの証人的発想になってしまい、今の世の中の悪いところばかり捜しては「やっぱり世の中は終わりに近づいている。」と結論づけてしまうものですから、だんだん会話そのものが少なくなってゆきました。私自身も、五つの集会の準備でとても忙しかったので、(それぞれの集会のために、予習をして、聖句を調べなければなりませんでした。)これ幸いと、一人で夜中まで勉強したりしていました。そんな家での状況にもかかわらず、主人は「何が何でも止めろ。」とは言いませんでしたし、暴力も決して振るいませんでした。基本的に宗教は、個人の自由だと理解し、その点では常に理性的でした。ただ、エホバの証人は、何か変だから、子どもたちだけは絶対に教えてほしくないとだけ強く言われましたので、そのことではよくケンカになりました。私は、子どもには立派なエホバの証人になって、ハルマゲドンで生き残って欲しかったので、はやく教義を教えたかったのです。一方では、主人の言うこともよく分かりました。もし自分が逆の立場なら確かに主人と同じように言ったのでしょう。結局、客観的に考えてみて主人は正しいと思い、子どもたちには、本を開いて研究と言う形ではなく、生活の中や、会話の中でエホバを教えていくことにしました。それでも主人は不安だったようで、子供たちのことになると、よく言い争いになってしまいました。



 そんな日々が続いて、金沢へ来てから半年が過ぎた頃(もっと長く感じられましたが)私はいよいよエホバの証人としてバプテスマを受けることを決心しました。本当はもっと早く受けるべき(エホバの証人としては)だったのですが、私は主人がせめて理解を示してくれてから、と願っていましたので、ズルズルと伸ばしていたのです。けれどもむしろ心は離れていくばかりでしたので、「バプテスマを受けてエホバを喜ばせたほうが、もしかしたら良くなるかも・・・。」と思い、決心したのです。このことは、主人には隠したくなかったので、次の大会(年に数回、地区、地域ごとに集まって、大きな集会が開かれます。)でバプテスマを受けることを伝えました。その時も主人は、「そうか。」と言っただけでしたが、とても悲しそうな顔をしていました。私は決心が鈍りそうになるのを、「ここでサタンに負けてはいけない。」と言い聞かせ、主人に「できれば大会に一緒に行って見守っていて欲しい。」と言いました。主人はとても困った様子で、「行けばバプテスマを止めさせるかもしれないよ。」と言うだけでした。



 丁度同じ頃、東京にいる私の実の弟が結婚することになり、結婚式に出席するため、私たち家族と両親は、みんなで東京へ行きました。エホバの証人はもちろん、式には出られません。(神前結婚だったので)そのことを実家の両親に言うと、せめて式場に来て座っているように、頭を下げたり拍手をしたりしなくてもいいとのことだったので、私はかわいい弟のことも思い、エホバには「いいですか。」と伺いながら式に出席しました。その後の披露宴では、乾杯ができないので、やはりその時もただ立っていただけでした。そうした行動は、金沢の両親には非常に奇異だったようでした。特に父には、ふだん話しでしか聞いていなかった私のエホバの証人としての問題が、急に目の前に現れて、身近なものに写ったようでした。これから主人方の冠婚葬祭があった場合、エホバの証人の私は、親戚や世間の人たちから同じように奇異に見られるのです。それは父にとって大問題でした。そしてこの東京行きは、私たち家族にも大問題の始まりとなりました。



(金沢聖書バプテスト教会員 主婦)


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