御言葉メール1012
2020年2月1日(記:辻嵐桂子)
そのとき、王の前にいた宦官の一人ハルボナが言った。『ちょうど、王によい知らせを告げたモルデカイのためにハマンが用意した、高さ五十キュビトの柱がハマンの家に立っています。』すると王は命じた。『彼をそれにかけよ。』(エステル記7章9節)
エステル記は、バビロン捕囚に続く時代、ペルシャ帝国において、王妃となったユダヤ人女性エステルと、その育ての親モルデカイが、同胞であるユダヤ人を絶滅の危機から救った、歴史的記述である。
自分に敬意を払わないモルデカイに腹をたて、全ユダヤ人の殲滅を企てたハマンであったが、その計略はことごとく裏目に出、くじによって決められたユダヤ人襲撃の日が、逆にユダヤ人が敵に報復できる日となった(9章1節)。
また上記にあるように、モルデカイを処刑するための柱を立て、王に上奏しに行ったその日に、モルデカイは過去の功績を認められ栄誉を受け(6章)、一方ハマンはエステルの告発によって王の怒りを買い、モルデカイのために用意した柱に自分自身が吊るされることとなった。
悪者はおのれの手で作った罠にかかる(詩篇9:16)とか悪者にはその生き方への報いをその頭上に返す(Ⅱ列王記6:23)といった聖書の御言葉が、まさに現実のこととなった出来事である。
エステル記には神についての言及がない。
しかしこの書には、見えざる神の御手が見える。
私たちの目の前で起こるあらゆる事象もー歴史さえもー神のご摂理(被造物に対する神の配慮とご計画)のうちにある。
私たちはこのことを覚え、神の御前に誠実に生きる者でありたい。